もといとは
「ねえねえ、白猫ちゃん」
「にゃんだ?」
「セブンのたまごロールって食べたことある?」
「たまごロール?」
「うん。正式名称はたぶん違うと思うんだけど、ホットドッグみたいなパンに大量のたまごが詰まってる食べ物なんだよ」
「で? それがどうしたにゃ?」
「めっちゃ美味いんだよ! 2日に1回くらいは食べてるんだよね」
「へえー。まあどうでもいいが、それは共食いみたいなもんなんじゃにゃいのか?」
「・・・・・・」
「ところで、ひよこ、『もとい』って言葉知ってるかにゃ?」
「と、共食い!?」
「違う! もとい、にゃ。ちゅーか、めちゃくちゃ動揺してるじゃにゃいか」
「・・・ああ、もといね。知ってるよ」
「どういう意味にゃんだ?」
「言い間違えた言葉を訂正するときに使う言葉なんだよね」
「言い間違えた言葉を訂正?」
「そう。漢字で書くと『元い』なんだけど、元へ戻る、元に戻る、言い間違いを元に戻す、という意味で『もとい』なわけなんだよ」
「にゃるほど・・・じゃあ今俺が読んでる本に『神の力、もとい、死神の力が宿っている』という文章があるんだが、これは『死神の力』と言おうとしたのに『神の力』と言い間違えてしまった。だからその間違いを訂正するために『もとい』という言葉を使った。ということだにゃ?」
「まあ、そんな感じ。ちなみに、その文章をもっとわかりやすく言うと『神の力、じゃなくて、死神の力が宿っている』になるわけ。つまり『もとい』という言葉を使う奴はカッコつけてるだけなんだよね」
「にゃるほどにゃあ。それにしても、ひよこ。お前はニャンでも知ってるにゃあ」
「ニャンでもは知らないよ、知ってることだけだね」
「ん〜・・・、やっぱそのセリフ、どっかで聞いたことある気がするのにゃ」
「きっと気のせいだよ」
「そうかにゃあ? でもまあ、お前が言うならきっとそうなんだろうにゃ」
「じゃあ、ウチはナルトが見たいから、ここらでドロンするだよ」
「ドロン!? その言葉久しぶりに聞いたにゃ。ちゅーか、俺はボルトでも見ようかな」
「それでは!」
「おう、俺もドロンするにゃ」