滂沱の涙(ぼうだのなみだ)とは
「なあ、ひつじ」
「なあに?」
「『滂沱の涙』って言葉知ってるか?」
「滂沱の涙? ああ、あれね、知ってるアル」
「ほう、どんな意味にゃんだ?」
「えーと・・・、異世界のレアアイテムの名前ネ」
「にゃ?」
「はぐれメタルみたいに滅多に倒せないモンスターを倒すと、稀にもらえるアイテムの名前が『滂沱の涙』アル」
「にゃんだそれ?」
「そうそう、滂沱の涙には特殊効果があって、敵全体を感動の涙で包み込んで、戦闘不能にするネ」
「にゃんだよ特殊効果って、そんなわけにゃいだろ」
「あれれ〜? なんか違うアルか?」
「さすがの俺も、滂沱の涙が異世界のアイテムじゃないことくらいわかるにゃ!」
「じゃあ、井上陽水の新曲の名前アルかな〜?」
「いや、それも違うだろ・・・。まあ、とにかく、ひよこに聞いてみるか」
「そうアルな」
◼︎『滂沱の涙』の意味とは?
「いやいや、異世界のアイテムの名前でもなければ、井上陽水の新曲の名前でもないんだよ」
「ほら、やっぱり」
「じゃあ、ひよこ、お前は滂沱の涙のなにを知っているというアルか?」
「意味とか、その使い方とかだね」
「ほほう。じゃあ、その意味とやらを聞かせてもらおうか」
「まあ、簡単に言うと、涙がとめどなく流れるさまのことを言うんだね」
「にゃるほど」
「他にも、雨が激しく降るさま、水や汗が激しく落ちるさま、ていう意味でもあるんだよ」
「どんなふうに使うんだ?」
「うーん、例えば、『感動のあまり滂沱の涙を流してしまった』とか、『滂沱の涙が頬を熱く濡らしていた』みたいな感じかな」
「なんか実用性はなさそうだにゃ」
「そうだね。小説とかで使われることが多いかな。あ、ちなみに、滂沱の『滂』は、水が盛んに流れるさまを表す文字で、滂沱の『沱』は、水や涙の流れ落ちるさまを表す文字なんだよね」
「ほほう、そんな意味があったアルか」
「じゃあ、ウチは井上陽水のディナーショーに行かなきゃなんないから、もう行くね」
「え、井上陽水!? 新曲アルか? 滂沱の涙を歌うアルか?」
「いやいや、実はメインディッシュのチキンのソテーが目当てでさ! あー、楽しみ! それじゃ行ってくるね!」
「いや、行っちゃダメだ! それはたぶん、お前がソテーにされるためのディナーショーだぞ! 井上陽水にソテーされるためのディナーショーだぞ!」
【滂沱の涙】ぼうだのなみだ
・涙がとめどなく流れるさま
・雨が激しく降るさま
・水や汗が激しく落ちるさま
・異世界のアイテムの名前ではない
・井上陽水の新曲の名前でもない
〈使い方〉
・感動のあまり滂沱の涙を流してしまった
・滂沱の涙が頬を熱く濡らしていた
・滂沱の涙を流しながら部屋を出た