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件のとは

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刹那(せつな)

「なあ時雨」

 

時雨(しぐれ)

「なんですか?」

 

刹那

「件(くだん)のってどういう意味なのかな? 今私が読んでる本に『件の手品師』ってあるんだけど、それってどういう意味なのかなあと思って」

 

時雨

「件の手品師……ですか」

 

刹那

「なんか怪しい手品師、みたいな感じかな?」

 

時雨

「どうなんでしょうかね? ちょっと調べてみましょうか」

 

刹那

「頼むよ!」

 

時雨

「……えっとですねえ、私の調べによりますと『お互いの共通認識になっている事柄を話題にする時に使われる言い回し』だそうです」

 

刹那

「お互いの共通認識?」

 

時雨

「はい。例えば先程の『件の手品師』でいうと、『例の手品師』という意味になりますね」

 

刹那

「ほっほー、そうだったのか! てことは、『例の場所』だったら『件の場所』、『例の事件』だったら『件の事件』ってことか」

 

時雨

「そう言うことになりますね」

 

刹那

「でもさ『例の件』を『件の件』にしたらなんかややこしくない? 口で言うならまだしも、文字にするとややこしくない? 何となく『山本山』みたいな感じにならない?」

 

時雨

「上から読んでも下から読んでも同じ、みたいなことですか? まあその時は『例の件』でいいんじゃないですかね?」

 

刹那

「そっか、そうだよな」

 

時雨

「要は共通認識のある情報を一言で伝えるためのものですよ——つまり『件の手品師』の『件の』の中には『先日話題に上がったあの金遣いの荒い女たらしの』という感じの情報が詰まっているかもしれない、ということです」

 

刹那

「なるほどねえ。いやー、勉強になったわ! さすが時雨だな!」

 

時雨

「ま、それほどでもありますけどね!」

 

刹那

「お!いうねー! あれ?そう言えば時雨、今日焼きそばパン食べただろ?」

 

時雨

「食べてません」

 

刹那

「そっか。じゃあ、ありがとね!」

 

時雨

「どういたしまして!」